ハイキューパーツの公式ブログ「テクニカルガイド」

瞳用ジェルクリアの紹介

やっと出ます!

やっと発売になりました瞳用ジェルクリアです。

名前は覚えやすいようにというのと、PVC完成品フィギュア層にも使って欲しいとの思いで名付けていますが、素材的に言えば、紫外線硬化型透明樹脂です。

基板用のポッティング用途だったり、ネイル樹脂だったりいろいろなものがありますが、溶剤が入っていたり、安価な紫外線照射装置で硬化できなかったりと問題が多く、模型用途には向きませんでした。市販されているものから工業用までいろいろ取り寄せてみましたがどれも適合せず(主には表面強度と、適合する紫外線照射装置が高価なため)、結局こちらの希望に沿った形で特注をしてもらいました。ちなみに、こちらの提示した条件は、模型用塗料を侵食しないこと、提供するUVLEDで完全硬化させられること、硬化後に表面のベタつきがないこと(ネイル用はこの時点で駄目なものが多かったです)

模型用塗料を侵食しないことで接着材としては役に立たないのですが、思ったようなものができまして、晴れて販売となります。

前置きはこのくらいにして。。。

何ができるか

簡単にいえば、

  1. センサー用メタリックシールなどを土台に円形クリアパーツが作れる
  2. PVCフィギュアなどの瞳に立体的に透明樹脂が盛りつけられる

ほかにも応用次第なのですが、指定外の用途に使いたい場合は、危険物のため、内包の説明書をよく読んでから行ってください。

円形クリアパーツ編

もともとこの用途のために発売したのですが、センサー用メタリックシールを使ったクリアパーツ製作を順番に説明します。

センサー用偏光シール 赤→黄です。この手のパーツは偏光素材でやったほうが後効果が高いです。

このシートにシールが付いたまま作ると、シールを剥がすときに樹脂が剥がれてしまうので、必ず他のところに一回出して、できれば粘着力を少し落としてから加工します。

この偏光シールは、黒の上でないと綺麗に変更しないので、シールに付属する黒いシールを下にしいてから樹脂を盛ります。

樹脂を盛っただけの状態です。チューブからそのまま垂らさず、つまようじなどで極少量すくいとってから垂らします。厚めに盛りたいときは硬化不良を防ぐために数回に分けて施工してください。

付属の専用UVLEDにCR2016電池を2個挟んで点灯。40秒照射します。ちなみにこのUVLEDは市場で1個1500円くらいするものです。商品用に大量に作ってもらい、安価に抑えています。

完全に硬化しました。表面のベタつきもなく、透明度が高く、黄化も殆ど無いです。

SPプレート6.0mm用にはめ込んでみました。

今回はシートに載せましたが、クリアパーツが用意されていない箇所に直接盛りつけたり(衝撃を与えれば外れます)、慣れてきたら翼端灯なども作れます。あとクリアパーツが付属していない航空機の窓なんかにもいいですね。

フィギュア編

昨今はこちらの方が用途が多いかもしれません。PVC完成品フィギュアよりも、眼が掘りこまれているレジンフィギュアの方がより自然に仕上がると思います。

簡易ドールアイみたいな感じですかね。自然に奥行きがでるのと、生気が出ます。

フィギュア素材使用はマックスファクトリーさんに許可をいただきご協力いただきました。

まずは比較写真から

se・きららから神楽亜矢と

BRSから黒衣マトです。

屋外または自然光で見るともっと自然に見えますが、バウンス光がちょっと入りすぎてますね。実物はもっといいです。

ボトルは業務用なのですが、実際には軟膏みたいなアルミチューブです(商品写真参照)。商品の他に用意が必要なのは、つまようじ、CR2016電池2個です。日光の紫外線でも若干効果するので、室内で作業を行ってください。蛍光灯も昔のものは紫外線を出すものがあるので紫外線カットタイプがおすすめですが、長時間でなければ問題ありません。

同じく業務用ボトルですが、つまようじの先にちょっとだけ樹脂を取ります。いっぱい取ると垂れて大変なので少しだけ。

(ピンぼけしてますが)眼の部分に塗ります。はみ出した場合は硬化前であれば、キムワイプなど繊維の出ない布で拭き取ります。硬化後は、完全に硬化させてから針などで衝撃を与えて剥がします。接着剤ではないので接着能力がありません。強い衝撃で剥がれます。脱脂などをすれば密着力がアップします。

付属の専用UVLEDにCR2016を2個挟んで点灯。40秒照射します。密着面が浮いて空気が入る場合は、遠くからゆっくり硬化させると失敗が少ないです(説明書にも書いてあります)。

2-3cmくらい離して照射しています。

で、一番初めの写真の状態になるわけです。

ちょっと写真を失敗していますが、外でも撮影してみました。

応用次第

フェイクスイーツの透明素材や艶出しとしても使えますし、一旦硬化させたあとにヤスリで削って形状も変更できます。用途が多くて詳しく紹介できないのですが、さわりだけでも。

神楽亜矢についてきたコップですが、複数回に分けて硬化させれば水もできます。コツは一旦表面張力で凹んだ状態で硬化させて、その上に薄く乗せて表面を平らにすることです。AFVの水やバケツなどにも応用が効きます。

先日作ったスネークアイのクリアパーツ。瞳用ジェルクリアで少し盛り上げてみました。

タミヤのエナメル塗料のフタを型にして、虹彩パウダーを混ぜた瞳用ジェルクリアを流しこんで硬化。取り外した状態です。厚みに制限がありますが、常圧でクリアパーツが作れます。

これは失敗した完全硬化物を#320のヤスリで削り出した状態。

コンパウンドで磨けば透明な状態に戻りますが、写真のように追加で薄く樹脂を盛っても透明感が復活します。

模型の世界にはなかった、面白い新素材です。新素材を使って模型表現の幅を広げてもらえればと思います。分売については検討中です。

面白い用法があればぜひ紹介を。