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水転写式デカールの貼り方 2016年版

水転写式デカールの貼り方についての記事です。
※以後デカールと記述されているものは、すべて水転写式デカールを指します。

※RBデカールほかシルクスクリーン印刷デカール用記事です。SIJ印刷のデカールは特性が違いますので別記事を参考にしてください。瞳デカール(カスタムアイデカール)はSIJ印刷デカールです。

貼り方については何度も紹介していますが、前回の貼り方についての紹介から製品も随分変わりまして、コーションデカールは以前のNCシリーズが完全に終了し、現在は「RB」シリーズを販売しております。

最終目的はタイトル画像にあるコトブキヤ製M.S.Gウェポンユニット「スパイラルクラッシャー」を作ることです。デカールの貼り方の基礎の紹介とともに、貼り付けたものと貼り付けていないものなどディテールアップの比較できるように作ります。

水転写式デカールの貼り方の紹介

今から紹介していくのは水転写式デカール(Water Slide Decal)の貼り方です。
ほかのデカールの種類についての紹介は省略しますが、水転写式デカールは「吸湿性の台紙に印刷されているマークで、台紙が水分を含むことでマークが台紙から剥離し、台紙からスライドさせることで被対象物に貼り付けができる」性質を持つものです。スライドマークとも呼ばれます。

使う道具は

  1. 皿 中にキムワイプやティッシュなど敷いて水を含ませたもの
  2. フィニッシュマスター 細かいデカールに耳用の綿棒は不向きです
  3. 小ぶりなハサミ
  4. カッター
  5. ピンセット
  6. Mr.マークセッター
  7. デカールフィクサー(古いデカールや大判のデカール貼る時のみ)

2のフィニッシュマスターは代替品でもいいですが、綿棒じゃないほうがいいです。綿棒だと綿棒の方にデカールが巻き付いてしまって作業のじゃまになることがあります。筆はなんでもいいです。

そして、スパイラルクラッシャーと、RBコーションデカールの1/144版。フレームアームズキットはすべて1/100スケールなのですが、部品が細かいので弊社では1/144スケールの方を推奨しています。

貼り付けたらどんな感じになるか知りたい!というニュービーのために今回はスパイラルクラッシャーを3つ用意して作り分けをします。

1つは組み立てたそのままでデカールは貼らないもの。
もう一つはデカールだけを貼ってカスタムしたもの。
残る一つは塗装塗り分けしてデカールを貼り付けるものです。

左が組んだもの。右が塗装したものです。デカールを貼り付ける前に皮脂でペトペトにしてしまったものはデカールが上手く張り付きませんので、しっかり貼り付けたい場合は、脱脂用エタノールや洗剤などで脱脂が必要です。また射出成形時の離型剤が残っているものは除去が必要です。

貼りたい柄を選んだら、デカール柄の周りをハサミで切り取ります。カッターでもいいです。

弊社のデカールの中には、切り出し方が違うものがありますが、その場合は特記してあるほか、SIJデカールやCFデカールという品名が付いています。基本的には模型用デカールは上記の切り出し方でOKです。


先ほどの皿の中に置きます。冬場は剥離が遅くなるのでぬるま湯などを染み込ませておくと作業が早くなりますが、熱湯だと今度はカールしやすいのでぬるま湯で。

水に浮かべる方式と違っていいことは向きがわかりやすいことと、ノリの無駄な流出を防げることです。向きがわからなくなって困るという方はこれで。
含浸させればいいだけなので、この状態で放置しておけば柄が剥離してスライドできるようになります。

水を含ませた筆でちょんちょんさわると台紙から剥離しているかわかります。ここでしっかり放置しておかず、無理やり剥がすとノリが足らない状態になりやすいです。

貼り付けたいところにMr.マークセッターをちょっと塗ります。

台紙の方をスライドさせます。マークは筆で押さえるだけ。

細かな位置調整は水を含ませた筆で行います。先端が丸く、デカールを傷つけにくいものであればピンセットでもOKです。このピンセットで位置調整することも良くあります。
周囲の水分も筆で吸い取ればOKです。少し乾燥を待つ間に他の場所にも貼ってみます。




Mr.マークセッターを塗って。

台紙をスライドさせて、貼る。

筆で位置の調整をして。

筆の水分をティッシュで拭き取ったりしながら、デカール付近の水分を取り除き固定させます。デカールが固定される前に綿棒ゴロゴロすると綿棒の方にデカールが巻き取られてしまうことになりますので、少し固定されるまでは待つのが大事です。

フィニッシュマスターでコロコロします。圧着させる感じ。少し貼り付いたかな?というあとでこの作業をするのは問題ありませんが、貼りつく前にコロコロ頑張ってデカールの下にあるノリを完全に追い出してしまうと、ノリがゼロの状態になり貼り付きません。適度に。

爪楊枝に挿した同品で力をかけることもあります。普段は爪楊枝。

デカールのニス層のフチを写真のように叩いて馴染ませることも時々します。前述のSIJデカールやCFデカール、自作用デカール用紙を使ったデカールはニス層のフチが鋭利なのでこの方法が馴染ませるのに効果大です。

デカールを貼った後、白浮きしていないかどうかがわかりにくい時は水を塗ってやると分かりやすいです。白浮き(シルバリング)していれば、中に空気が入って反射して見えます。古い記事ですが、シルバリングの対処法はこちらをどうぞ。

デカールフィクサー出てこず

私はMr.マークセッターを原液のまま使うのが合っているようですが、今回の作業担当者はMr.マークセッターを水で希釈したもの+デカールフィクサーが合うようです。人それぞれで合う合わないがあるようで、謎の透明な液体を持ってる人もいました。

溶剤が入っていないため、柔らかくはしたくないけど糊は強化したいぞ!という方にはデカールフィクサーがオススメです。あと、水性塗料にデカールを貼って添加剤を塗っておいたら塗装面に痕がついてしまったという人で、糊を強化したい人にはデカールフィクサーがオススメです。デカールフィクサーは大判デカールを貼るときに、デカールが滑らなくて困るときに使うととても良いです。滑ります。

デカールノリ系はどれも揮発して空気中になくなるものではないので、塗ったところは必ず後で拭き取ることが必要です。ノリ跡があります。デカールフィクサーの場合も乾燥すると白い膜が見えますのでそれを取り除きます。

完成です!


真ん中は塗装したものです。デカールの段差消しもしてあります(クリア塗装→ヤスリがけ→クリア塗装など)。一番右のものはデカールだけ貼ったもので、デカールの段差などはそのままです。つや消しクリアを塗装しています。
左のは組み立てただけです。
濃緑はガイアカラー ダークグリーン。薄緑は同ライトグリーンです。

サイドにある07の数字は近々発売のCNDデカール(先行販売版あります)から使用しました。先行販売版はSIJ印刷です。扱い方が違いますのでご注意ください。