ハイキューパーツの公式ブログ「テクニカルガイド」

「JPNデカール2」は近未来SFな世界観と、日本の伝統美を融合させたカスタムデカール

1. 漢字のデザイン

篆書(小篆)をベースに、横長の黄金比を用いて再構築したオリジナル漢字デザインです。

小篆は、水平垂直の幾何学的な構造と均一な線の太さを持ち、元よりSF的な要素を備えた書体です。その特徴を活かしつつ、模型への親和性を高めるために横長のジオメトリックな形状へと落とし込みました。

文字のラインナップには、SF作品の機体や世界観設計に使いやすい意味の漢字を厳選しています。デカール1枚でアイキャッチとなる存在感を放ちながらも、模型本体のフォルムや他のディテールを邪魔せず引き立てるよう、線の太さや密度の強度を調整してあります。

2. 紋章のデザイン

日本の伝統的な家紋や神紋をベースに、模型専用として再構築したグラフィックです。

本来の着物などに施されるサイズ(小さいものでも約45mm)と比べ、模型で用いるサイズ(15mm以下)は極めて小さくなります。そのため、見本帖(紋鑑)などを参考にして従来の家紋をそのまま縮小転用すると、線の潰れや密度の偏りといった不合理が生じてしまいます。

本製品では、極小サイズでも美しく機能させるため、家紋デザインの根幹である「正円の内接・外接」という数理的な設計原則に立ち返り、パスを一から引き直しました。伝統的な紋章の持つ美しさを損なうことなく、模型のスケール感に適合する精密なグラフィックとして仕上げています。

三つ巴紋、二つ巴紋については、向きがありますので注意してください。三つ巴については△の形に頭が位置すること。二つ巴の場合は、12時6時の子午線が正しい位置です。

149頁「紋章で、三つの形が集まったとき、かならず一つが上になることが、原則とされています」
泡坂妻夫(2008)『卍の魔力、巴の呪力: 家紋おもしろ語り』新潮選書より

設定構築のヒントを添えていますが、使用用途や意味合いを限定する意図ではありません。参考にとどめ、各々の創作に役立ててください。

3. 漢字と紋章に添えて使える小さなデカール

漢字や部隊紋章に添えて使える汎用のコーションマーク風デカールが含まれます。

共通表記の「SEC-KEY REQD(またはSEC REQD)」は「Security Key Required」の略。

物理的なセキュリティキー(ドングル等)の照合を要求する機能を示します。外部攻撃を遮断し、暗号化キーの直接接続を必須とする厳重な機体設定を付与できます。脱着が見込まれる部分や、セキュアな環境が必要なパーツ、装甲ハッチやメンテナンスポート周り、機体の核となるパーツへの貼付がオススメです。

収録漢字は、原則として1文字で成り立つようにデザインされていますので、熟語のようにして縦横に並べて使えるように設計されていません。ウエイト(ツラ)が近い一部の漢字のみ並べて使用できます(雷電、震電など)。

カバーコートが剥がせるピールオフタイプのデカールです。ピールオフデカールの使い方については別ページを参照してください。

漢字と日本の紋章のラインナップ

発売に合わせて表を追加していきます。8弾まで予定。

JPNデカール2 01「壱 弐 参 肆 伍 陸 百 千 零 試」

No. English Pronunciation 設定構築のヒント
1 One ICHI 1号機、初号機。「試(プロトタイプ)」のデータ採取を経て、初めて正式にロールアウトされた『量産第1号機』。プロトタイプに対するフラッグシップであり、設計理念を継承した真のオリジナルであることを示す標章。
1 Two / Secondary NI 2号機。1号機(壱)の運用データをもとに、欠陥を削ぎ落として実戦用に最適化された『実戦型・完成形』。二重化された構造の高い生存率と、敵対する脅威を確実に撃破する実効パフォーマンスの証。
1 Three / Tertiary SAN 3号機。「三」は空間的安定をもたらす宇宙の最小構造。『参』の刻印は機体・装備・操縦者の三要素が完璧に調和した絶対的安定機の証。
1 Four SHI 4号機。四大元素や全方位を支配する『肆』の刻印は、構想段階であった仕様が強固な装甲とフレームを得た絶対的標準機(制式採用モデル)の証。
1 Five GO 5号機。五行(木火土金水)の巡りを意味し、自己完結した循環構造を示す。単機でありながら自己完結した部隊機能を内包する証。
1 Six / Ground-Spec ROKU 6号機。陸戦仕様、陸上部隊用。六方(360度)三次元空間のすべてを完全に索敵・支配していることを示す、絶対的防御力を備えた拠点の標章。
1 Hundred HYAKU 時代の節目や技術革新の到達点にのみ付与される『技術集大成モデル』の刻印。単体で完結した高い運用能力と、誤差を許さない極限の工作精度を保証する製造ラインの頂点。
1 Thousand SEN 「千代(不滅)」の構造。単騎にして千の力を持つ強者(一騎当千)。過酷な打撃を受けても屈することなく戦場に残り続ける「永続型・要塞級機体」の標章。
1 Null / Void ZERO すべての起点が宿る原点。無駄な装飾や余計な重量を徹底的に削ぎ落とした「無・極限状態」を示す刻印。最も純粋なポテンシャルを発揮する、原点にして頂点の証。
1 Experimental SHI 安全基準や運用規程をすべて無視して組み上げられた『未承認実験機(プロトタイプ)』の刻印。限界を超えた過大な負荷をかけるテスト状態を意味し、壊れゆくリスクと引き換えに圧倒的な性能を引き出す『規格外の実験体』。
1 三つ巴 Mitsudomoe 三つ巴(三頭巴) 3つの巴を並べた最も一般的な巴紋。八幡宮の神紋としての使用が有名で、多くの武家に家紋として愛用された。
1 尾長巴 Onagatomoe 三つ巴の変形タイプ。頭部が尖り、尾部が比較的細長いのが特徴。

JPNデカール2 02「改 武 警 忍 震 雷 電 毘 龍 虎」

No. English Pronunciation 設定構築のヒント
2 Custom / Refitted / Tuned KAI 制式仕様を解体し、独自の手でアップグレードを施した『カスタム(改造機)』の刻印。現場の要求に合わせて最適化された証であり、所有者の思想に合わせて生まれ変わった「専用チューンド機」。
2 Assault / Armed / Heavy-Shield BU 武力行使と実戦格闘に特化した『重装仕様』の刻印。強固な防護装甲と実体兵器を纏い、威圧的な実力を以て敵対存在を力で制圧・粉砕する武門の標章。
2 Sentinel KEI 警戒・監視・巡察を司る『治安維持仕様』の刻印。隙のない索敵網で全方位の異常を早期に察知し、法と秩序を遵守させて領域の平和を保つ警備機の標章。
2 Ninja / Stealth / Infiltrator NIN 隠密・潜入・急襲に特化した『ステルス仕様』の刻印。気配や動作音を徹底的に削ぎ落とし、闇に紛れて死角から一撃を叩き込む暗闘機の標章。日本の歴史における「忍び(忍者)」に由来。
2 Quake SHIN 天地を揺るがす力を秘めた『局地圧砕仕様』の刻印。一撃で広範囲の陣形を崩し、敵の態勢や戦意を根本から揺さぶる衝撃機の標章。
2 Thunder RAI 一瞬で戦場を駆け抜ける超高速と、苛烈な閃光を放つ『電撃』の刻印。予測不能な速度で間合いを詰め、不可避の打撃を叩き込む高機動機の標章。
2 Lightning DEN 雷より速く駆け巡り、正確無比に標的を射抜く『超高精度・瞬撃』の刻印。目にも留まらぬ速さで戦局を掌握し、無駄のない最小の動作で決着をつける標章。
2 Vaisravana BI 武神・毘沙門天の威光を纏う『絶対防衛・守護神』の刻印。あらゆる邪気や外敵の侵攻を跳ね返し、部隊の陣頭に立って戦線を死守する不屈の標章。
2 Dragon RYU 天を舞い空を制する『空中戦・絶対王者』の刻印。圧倒的な機動力と旋回性能で三次元の空域を完全掌握し、頭上から戦場を見下ろす高高度決戦機の標章。
2 Tiger KO 地上を疾走し、獲物を確実に噛み殺す『陸戦遊撃・格闘仕様』の刻印。獰猛な瞬発力と鋭利な爪牙で敵の懐へ踏み込み、接近戦で敵陣を食い破る重猛機の標章。
2 蔭三つ巴 Mitsudomoe Voided 三つ巴の蔭紋(かげもん)(輪郭線(複線)だけで描くもの)。
2 蔭尾長巴 Onagatomoe Voided 尾長巴の蔭紋(かげもん)(輪郭線(複線)だけで描くもの)。

収録している漢字は、数字(大字)を始め、兵装・所属的な属性の区分けに使える漢字のほか、孔子から陽明学へ、そして明治・大正の武士道精神へと受け継がれてきた思想体系を参考に選出しています。また、各漢字の意味合いや小篆の成り立ち、日本の紋章をはじめとした本製品の図形構成・意匠考証にあたっては、以下の文献における構造解析や記述を参考に独自の解釈を加え、SF的意匠を融合させたデザインとして再構築しております。

参考文献:刊行年順

内村鑑三(1894)(1995)『代表的日本人』岩波書店

沼田頼輔(1926)『日本紋章学』明治書院

新渡戸稲造(1938)『武士道』岩波文庫
丹羽 基二(1969)『家紋: 千五百種の美と歴史』秋田書店

沼田頼輔(1977)『綱要日本紋章学』新人物往来社

牛窪梧十(1987)『標準 篆刻篆書字典』二玄社

千鹿野茂(1993)『日本家紋総鑑』角川書店

守屋洋(1996)『陽明学 生き方の極意』PHP研究所

泡坂妻夫(2008)『卍の魔力、巴の呪力: 家紋おもしろ語り』新潮選書

泡坂妻夫(2016)『家紋の話』角川ソフィア文庫
丹羽基二(2016)『神紋総覧』講談社学術文庫

京都紋章工芸協同組合 一般財団法人 京染会(2020)『平安紋鑑 令和改訂版』赤々舎

波戸場承龍、波戸場耀鳳(2020)『紋の辞典』雷鳥社

波戸場承龍、波戸場耀鳳(2021)『誰でもできる コンパスと定規で描く「紋」 UWAEMON』彩図社