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瞬間クリアパテRのこと その1 プラ相手

大事なことを書き忘れていました

ガイアノーツ株式会社より発売されます。後述の理由により、弊社の直営サイトでは販売もありません。

名前は「R」ですが別物です

製品のことは後述します。手っ取り製品の使い方などについて知りたい方は次の次の見出しよりどうぞ。

「瞬間クリアパテ」を、かつて自社で販売しておりましたが、弊社の流通倉庫を借りるのに、危険物を倉庫で保管できなかっため(まず防爆でない倉庫なのと、間借りのため拡張もできず)、ガイアノーツ株式会社に、製品ごと移管して「瞬間クリアパテ」、「UVジェルクリア」の販売を継続することになりました(その際にオリジナルのガイアカラーなどの販売もできなくなりました。惜しい)。「UVジェルクリア」、後にグルータイプも出ましたが、細かな容器や仕様の改良を行い、現在の仕様で継続して販売をお願いしております。
一方の「瞬間クリアパテ」はというと、移管した後に2ロットくらいは販売ができたのですが、原材料の高騰による単価変更、輸送料の高騰もあり、同じ価格での販売ができず、諦めていました。長らく生産できるところを日本国内で探していて、試作がだいぶ期間がかかりましたが、今回のものは国内で生産出来ました。輸送コストの心配がないのと、品質においては以前より格段に安定性が上がっています。また、隙間埋め用途として使えるように細かなカスタムを行っています。
世の中にいろいろな瞬間接着剤がありますが、素材はほぼ同じで、シアノアクリレートです。99%のシアノアクリレートに、残りの添加物で性質が決まります。低粘度、高粘度など。で、その添加物の割合多いほど、シアノアクリレートは不安定になりやすく、瞬間接着剤の寿命が縮まります。粉を混ぜると削りやすくはなりますが、すぐに完全に固まって使用不能になります。切削性を上げる物質と、シアノアクリレートとほか添加物の割合が難しく、製品化にはかなり長期間で試作を行いました。色付きの瞬間接着剤が少ないのも、この安定性のあたりがネックになっているそうです。

接着剤なのかパテなのか

正確に言い表せる固有名詞がないので、なんとも説明が難しいです。瞬間接着剤と同じ素材ですが、一般に求められる瞬間接着剤としての接着能力はあまり強くありませんし、まず瞬間には固まらない。「瞬間クリアパテR」は、瞬間接着剤と似た性質を持った、隙間埋めに適した遅硬化のカスタム樹脂です。
「瞬間クリアパテR」は接着用途よりも、以前の「瞬間クリアパテ」にできた、ベビーパウダーと混ぜて使うような、粉を混ぜた状態で軽く切削できる状態の樹脂です。デザインナイフやカッターで削りやすく、紙やすりの荒い番手(例えば240-320)でなくても削れるようにカスタムされています。市販品を流用しているわけではないので、完全な『模型用』です。

本編:使い方 適材適所で

ラッカーパテと、ポリパテの間を埋めるような位置づけのものです。あまり深い穴は埋めるのは得意ではありません、中が硬化しにくいです(一晩も放置すれば硬化しますが)。ポリパテで埋められなかった1mmまでの溝や、綺麗にパーツが合わなかった部品の溝など、細かなところに使います。ラッカーパテは1mmも隙間があると、時間が経つとひけたりしますが、本製品はひけが少ないです。また、隅っこまで合わせ目が来るときに本製品を使うと、強度とパーツとの接着力を保ちながら綺麗に表面を成らせます(写真は下方)。
もしも深い肉抜き穴を埋めたい時は、プラ板の切れ端をまず突っ込んで、だいたい埋めて、その開いたところを本製品で埋める使い方が良いです。最終的に表面の細かな傷や穴ができた場合は、「ラッカーパテ」を使ったほうが時間が短縮できます。
クリアボックス入り。シリコンチューブで覆われた容器に入っています。このシリコンチューブが凹んだアルミ容器を押し戻してくれるので、形状が保てるようになっています。

硬化促進剤が別途必要です。なくても1日放置すれば固まりますが、あったほうが速いです。硬化促進剤があっても、瞬時に固まりませんので2−3分は放置したほうが確実です。厚盛り禁止。
先端は常に綺麗に。キャップがちゃんと閉まらないと中身の劣化が早くなります。
瞬間接着剤系とはいえ、ほかの瞬間接着剤と同じく、ひねりや力のかかる部分には弱いので、力のかかる可動部の基部などには流し込みのプラモデル用接着剤の併用をオススメします。

実践編

今回の被験体です。わざと合わせ目部分をナイフで切り落として隙間を開けてみました。フレームアームズ「レヴェナントアイ」の足ですが、実際のキットでは隙間はほとんど開きません。
瞬間クリアパテRを盛りつけたところです。
デザインナイフで不要な部分を削っていきますが、サクサク削れます。普段こういった作業に高粘度の瞬間接着剤を使っている方にしか話が通じないような予感もしますが、硬くないんです。筋肉痛になりながら削らなくてもサクサク削れます。

しかし、もっと隙間が狭い場合は、流し込み低粘土瞬間接着剤でも可能です。ですが、今回は溝幅が広いので、「瞬間クリアパテR」の出番です。

サクサク
ほかに写真がなくてすみません。サクサクの写真です。
もっと盛りつけてしまったところも、こんな感じで削れます
アレックスナイフをよく使います。表面が綺麗になっているように見えますが、細かな傷埋めは苦手(盛り付けすぎてまた削るハメになる)なので、ラッカーパテを薄く塗りつけたほうが作業が早く終わります。
上でちょっと書きましたが、末端部に来る合わせ目を消すのが得意です。ラッカーパテだと強度不足でポロッと剥がれてしまう箇所ですが、クリアパテRは剥がれず、削るのも楽です。
ポリパテで埋めきれなかった細かい部分をクリアパテRで埋めました。

「クリアパテR」は模型用として作られた瞬間接着剤(のようなもの)でまだ生まれたばかりです。予想できない不具合なども出てくると思いますが、どうか長い目で見守って頂けますと幸いです。気になったことや、要望などがございましたら弊社か、ガイアノーツ株式会社までご意見をお寄せ下さい。※製品化に長期間かかると思いますが、グレーのものも開発予定です