ハイキューパーツの公式ブログ「テクニカルガイド」

ハイキューカラーチップの使い方

始まりは自社用途

「片付けたい・・・」

「きれいな作業場にあこがれて」。仕事の都合上、プラスチックのスプーンに塗装したサンプルチップをたくさん作って塗装テストなどをしているのですが、スプーンの形がバラバラな上、かなりスペースを取ります(400本近くあるとダンボール2箱くらいになります)。増えすぎたスプーンの片付けは、箱に詰め込むしかないのですが、詰め込んだとなると、今度は探しにくい。結局あまり片付けずに制作室のペン立てはスプーンがたくさん突き刺さっている状態でした。
「脱スプーン」を目指して白いプラ板を切り出したものに塗装している時期もあったのですが、プラ板に直接油性ペンで書くと、日光にあたると文字が揮発して消えてしまうことがあり(ペンが原因のような気もしますが)、メモ用の罫線もないので、最後にはあまりメモ書きも残すことがなく、資料としての価値を失っていました。スプーンにもメモを書けるスペースが狭いという問題があります。

ハイキューカラーチップ
スプーンたくさん大家族

自社用として製造予定でした

スプーンはスペースを圧迫します。サンプル用のカラーチップは仕事上必須アイテムなので、何か他に代用できるものがないか探しました。世にあるもので便利に使えるものがあればそちらの方が安上がり&手軽なので、紙製以外の単語帳を買ってきて塗装してみました。塗装できないことはないんですが、厚みが薄すぎるのと、塗料の食いつきが良くないため(元の用途から外れていますし)、一部の塗料によっては時間が経つとペロッと剥げてしまいました。60種を超える素材を集めてテストをしてみましたが、国内に流通している素材で弊社基準に適合するものは1種類だけ。採用した素材は、模型用塗料で塗装した場合に、塗料を適切に受け止めてくれる層があり、適度な厚みがあって、エアブラシ塗装するときにも変にしなりませんでした。
耐スクラッチ性はプラ製のスプーンに匹敵するものがあります。針などで強く擦ると流石に剥げますが、日常使用で考えられる擦れや、爪で擦った程度では剥がれません。模型用ラッカー・アクリル・エナメル塗料で検証をしています。自社で使ってみてかなり使い勝手が良かったので、流通に乗せられるようにコスト計算を繰り返す日々が始まります。サイズを名刺サイズにするのと、数量を調整(かなり大量に作れば)すれば、どうやら量産メリットで流通コストを相殺できそう・・・とか、妄想。

剥がれた例。良さそうだったんですけどね。

メタリックカラー用もいるのでは?

「スプーンは黒いのがあるけど、黒い下地のチップが要るのでは」のテストが始まりました。通常版の方に黒を塗装してからメタリックカラーを塗装してもらえばいいとは思っていましたが、実際に黒塗装からやってみるとうまくいかない。どうもプラスプーンのように光沢感がないために、かなり丁寧に吹き付けて塗装面を平滑にしていかないと、黒が梨地気味になってガサついてしましました。これは、まずい。
ということでテストです。黒の印刷の上にちゃんと塗料が載るかがわかりませんので、実際に本番の紙に黒を印刷してもらいまして、塗装のテストをしました。
通常版に黒を塗装してからメタリック色を重ねるよりは、かなり平滑に塗装できることがわかりましたので、メタリックカラー用も追加でラインナップ決定しました。
半分を黒、半分をソリッドカラーと同じ白にすることで下地の違いによる色の見え方が一気に試せるようになデザインにしてあります。

違和感

「違和感あるわ」「え?」。穴の位置によって使い勝手がずいぶん変わります。もともとは単語帳をベースにしていたので、単語帳と同じ位置の左上に綴じ穴を開けていましたが、色見本帳を普段触っている社員が実際に触ってみると、「なんだか違和感がある」そうで…。じゃあテストしてみようということで、また量産テスト印刷したんですが、穴の位置を右下(PANTONE色見本帳などと同じ)にすると、めくりやすさが改善。特に色の見合わせ、塗装する位置が「頭」に来ることでかなり扱いやすくなりました。歴史ある見本帳の大先輩にあわせて、右下穴位置を変更して最終仕様が決定です。両利き用を意識して穴の位置を真ん中にすることもできましたが、色の重なり面積が減ってしまい、使いにくくなるため右利き仕様に合わせてあります。テストに左利きの人にも使ってもらいましたが、聞き手の違いで使い勝手が変わるというよりは、普段どちらでめくるかの癖の問題のようなので、世界基準の位置で慣れて使っていただけますと幸いです。

販売へ

通常版のソリッドカラー用、半分黒塗りのメタリックカラー用と2種類販売されます。いずれも70枚+表紙1枚+金属製リング入り。箱を開けたらリングとカードはバラバラに入っていますので各自でリングに綴る必要があります。また、チップの裏面は塗料を受け止めるための層がありませんので塗装には適していません。ご注意ください。

ソリッドカラー用(通常版)
ソリッドカラー用(通常版)
ソリッドカラー用(通常版)

メタリックカラー用
メタリックカラー用
メタリックカラー用

まとめ

ハイキューカラーチップの良い点

  • 単語帳スタイルで束ねられる省スペース型
  • 名刺サイズで扱いやすい
  • 耐スクラッチ性が高い
  • チップを並べて色の比較がしやすい
  • 色見本の整理がしやすくて資産として活用できる
  • 曲げられるのでハイライト、ダーク時のカラーが確認できる
  • 白色度が高い(スプーンだとアイボリーが主流)
  • メモ欄があって管理しやすい

マイナス点

  • 物によってはスプーンのほうが安い
  • 光沢感はスプーンの方が上

先行販売版

ひとまず、先行販売版として通常版「ソリッドカラー用」を販売致します。市販品と違うのは表のシールだけで、価格、仕様ともに同じものです。早めに使ってみたいという方はお求めください。先行版は250セットくらい用意しています。なくなり次第終了です。売り切れの場合は一般販売までお待ち下さい。


使い方

2019年8月中旬市販予定です。

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