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フォルムアームズ「レイルヴァース V.F.A.」工作・塗装編

「フォルムアームズ」ってどんなシリーズ?

公式サイトによると

『フォルムアームズ』とは、「フレームアームズ」の因子を受け継ぐ新たなオリジナルロボットプラモデルシリーズです。機体の各部位を1つのユニットとし、これを組み合わせて1体のロボットにするシンプルな構造を必要最小限のパーツで構成することで組み立ての煩わしさを低減させるとともに、ロボットのフォルムや可動性を追求した商品を展開していきます。

「フレームアームズ」は、組み立て済みのフレームに外装を取り付けていくのが特徴のシリーズでした。一方、本シリーズではフレームの制約にとらわれず、フォルムやシルエットそのものに焦点が当てられているように感じます。

実際に、可動域が広がり、より柔軟なポージングが可能になるなど、フレームアームズから大きく進化を遂げています。さらに、同社のM.S.Gシリーズやフレームアームズのキットと組み合わせ、自分だけのオリジナル機体を作り上げるファンも増えており、大きな盛り上がりを見せています。藤岡建機氏デザインのキットも予定されており、今後の展開に期待が高まります。

第1弾「レイルヴァースV.F.A.」

フレームアームズの魅力の一つは、「設定画にとらわれない自由な発想」でした。この点を受け継ぎ、今回の「レイルヴァースV.F.A.」でも、新しい素材を使った塗り分けや、塗りにくいところのディテールアップといったブラッシュアップを中心に製作しました。

なお、第一弾のレイルヴァースV.F.A.は、コトブキヤ公式通販限定での取り扱いとなります。模型店店頭には並びませんので、ご注意ください。

組み立てたままの状態。いわゆる「塗ると化ける」系と信じて作業を進めます。右手に持っているのは同時期に発売されたウェポンユニット48 ストライドライフルです。

ディテールアップ&塗装作業

手首を交換

左手は武器類を持たせないので、フレームアームズの握り手に交換しました。レイルヴァースの手首の軸径は約3mmで、フレームアームズでは約3.2mm(※)です。途中で切断して真鍮線を貫通させて移植しました。サイズもちょうど良いです。

ストックにRE2のものであれば、おそらくですがそのまま使えますのでRE2を推奨します。

※フレームアームズの素体であるフレームアーキテクトは製造時期によって複数のバージョンが存在します。最新のフォーマット(RE2)では手首の軸径は約3.0mmですが、今回使用したストック品の軸は旧Verだったため3.2mmでした。
左がキット付属品。右がフレームアームズ用のストック品。
軸を切り飛ばして移植しました。そのまま接着しても強度不足なので、真鍮線を貫通させて補強しました。

腰の前当てにツインパイプを埋め込み

股間にあるパーツです。
穴を開ける予定の位置に、罫書き針などで凹み穴を打ちます。凹み穴があるとドリル刃で開口するときに、穴がズレにくくなります。
塗装の厚みも考慮して、直径1.6mmより少し大きめに開けておきます。ツインパイプ2 1.5mmシルバーを埋め込みました。一度外して塗装後に再度取り付けて接着します。
完成図。

丸い円の塗装

丸い円の塗装には円形マスキングシールが便利です。

太ももの前側に着くパーツです。ちょうど正円の形に彫り込まれているので、円形マスキングシールSの直径1.6mmの枠を使って塗装します。
周囲は市販のマスキングテープで覆って、エナメル塗料のジャーマングレーを塗装しました。
完全乾燥する前に剥がせば完了です。溝が掘ってあるので→
スミ入れ塗料のブラックを流し込み塗装しました。これで輪郭がはっきりします。

スプリンター迷彩

プレカットタイプなら楽ちんです。スプリンター迷彩用マスキングシール(計4枚入)を使いました。あらかじめ「いい感じ」にカットしてあるので、付属の説明書の手順に従って塗装すれば、「模様」は失敗しにくいです。失敗するとすれば「色選び」なので事前の塗装チェックを欠かさないようにしましょう。

付属の説明書では、瓶の塗料のままで使える塗料をいくつか紹介していますが、グリーン系はよい組み合わせができなかったので、調色してグリーン2色を作りました。全体に塗装する場合は、うるさい印象になるため、2色の差をあまりつけないほうが良いです。

公式サイトの線画を利用して予定図を作りました。

薄グリーン
・エメラルドグリーン:60%
・ニュートラルグレー1:30%
・EXホワイト:7%
・純色シアン:3%

濃グリーン
・エメラルドグリーン:60%
・ニュートラルグレー2:30%
・EXホワイト:5%
・純色シアン:5%

※下地はグレーサフ
右は色の差が大きすぎたので失敗。左のスプーンが採用版

薄いグリーンを塗装した上に、スプリンター迷彩用マスキングシールを貼って、濃いグリーンを塗装したところ。
完全乾燥する前に剥がせば、塗装完了です。
アクセントに使う黄色の選び中。
先程のグリーン2色に加えて、アクセントに使うのは橙黄色、外連味を重視して選びました。もともと白だったボディー部分はニュートラルグレー1に塗装します。

バラした状態で塗装していますが、組んだ状態で概ねどこにラインをいれるかは上記の塗り絵などで検討しておきます。

ウェポンユニット48 ストライドライフル

この塗り分けは簡単で、見栄えも良くなるのでおすすめです。円形マスキングシールを使って周囲をマスキングしてシルバーを塗装しています。いずれも円形マスキングシールSのサイズです。

凹の溝になっている部分は、スミ入れ塗料で塗装すると色の境界が明確にできます。

穴の底

フレームアームズ、フォルムアームズに限らず、シリーズのキットには別パーツを取り付けるための穴が空いていて、底面まで塗装しないと悪目立ちする場面があります。そんなときに役立つのが、隠れた人気の2DDステッカーです。両膝周りのパーツでは使わない穴なので、ツインパイプ2 3.0mmを塗装して埋め込みました。が、穴の中から底面が見えてしまったため2DDステッカーを底面に貼り付けました。

チラッとしか見えませんが、底面に色と模様が入るとしまった印象にでき、成果がわかりやすいディテールアップです。

リペアの紹介

マスキング塗装の途中で失敗しました。

マスキングテープを剥がすときにテープ側に塗料がくっついてしまったので補修します。マスキング塗装のセオリーとしては、マスキングテープを手のひらなどに貼り付けて粘着力を弱らせてから貼りしますが、今回はそれをしていても剥げてしまったので、パーツ表面についた油脂などが原因と思われます。

撮影用にワンダーバイスに固定していますが、実際の作業では外して作業してください。

下地のグレーサフまで剥がれて素地の青色が見えています。
迷彩の形に沿ってマスキング。塗装したところと素地で段差ができているので2000番の紙やすり(段差が大きい場合は1500番)で均します。表面の油脂が原因の剥がれと思われるので均一に剥がすように削りました。
均した後はサーフェーサーを薄く吹き付けます。
再度、薄グリーンを塗装します。
完全乾燥する前に剥がせばリペア完了です。

装甲裏

装甲裏が見えて目立つので、ジャーマングレーで裏側を塗装しました。エナメル塗料をエアブラシで塗装してはみ出しは拭き取っています。

模型用水性塗料+アルカリ水溶液(マジックリンなど)では塗料の際がぐずついてしまうことがあり、シャープなラインにするためにエナメル塗料を使用しています。

ガイアノーツのフィニッシュマスターで拭き取りました。

塗装後、組み付け後。

両膝のパーツの丸塗装

円形マスキングシールMにある4.6mmの枠を少しカットして貼り付けました。

少し大きめにマスキングしてエナメル塗料のジャーマングレーを塗装しました。

はみ出すように塗装された状態。
エナメル塗料用の溶剤を染み込ませたフィニッシュマスターで周囲を拭き取れば塗装完了です。

ほか作業途中の写真

ストライドライフルのレールガンっぽい部分を黄緑色に塗装します。
地道にマスキングするしかない形状です。剥がれてきそうな場所はマスキングゾルなどでは補強や隙間埋めをします。
Adobe Fontの「Cadogan」を模型映えするように少し太らせてRail Virthのマークを作りました。
同社のニューフライングベースにも同じマークで印刷しました。UVインクジェットプリンターは台座の素材と相性が良いので剥がれも起きにくいです。
股関節は外から見えてしまう&パーティングラインの処理が大変なので一旦すべて削り落として、GLEP-05の5.0mmを瞬着で貼り付けました。
Aは元の状態。BがGLEPを貼り付けたところ。貼り付けたまま同色に塗装します。エッチングパーツの鋭いエッジには色が乗りにくいので少しなだらかにしてから塗装します。

次回は完成編です。

使用キット

フォルムアームズ
レイルヴァース V.F.A.

ウェポンユニット48 ストライドライフル

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