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陸上自衛隊06式-Ⅲ型戦車 ろく 改造「シャークマウス」工作・塗装編

「シャークマウス」が貼りたい!

今回で2体目になるコトブキヤ「陸上自衛隊06式-Ⅲ型戦車 ろく」(以下ろく)の製作です。「ろく」は同シリーズの「なっちん」の前世代に当たる機体という設定で、カクカクした「なっちん」に比べて、鋳造で作られた風の、まるっこい戦車の風合いです。

前回の記事はこちらです。

今回は米軍機のムスタング(P-51)やウォーホーク(P-40)のようなシャークマウス(シャークトゥース)デカールをなにかに貼ることを目的に始まりました。「ろく」の頭はちょうど丸っこいので似合いそうです。「なっちん」に貼るものも一緒に作ったので、後日「なっちん」を作るときに披露します。

この製作記事では、大判デカールを貼る際の注意点についても詳しく解説しますが、シャークマウスデカール以外にも、以下の新しい試みやテストを同時に進めています。

  • 迷彩用マスキングのテスト(名称未定)
  • AMPコーションデカールの1/100版テスト
  • 新しい数字デカールのテスト(名称未定)
  • 漢字デカールのテスト(名称未定)

基本工作

合わせ目消しと溶きパテ

塗装すると余計に目立ってしまうため、合わせ目になる場所を埋めたほうが良いところがあります。途中でサーフェイサーを該当部にのみ薄く塗装してチェックしながら、隙間を溶きパテで埋めました。

チェックのためのサーフェイサーを塗装したところ。チェック用途なので、気になるところに薄く吹くのみにします。
接合部付近で小さな穴が出来ていたので、溶きパテで埋めました。
最近使用しているホルツのタッチアップパテ。車用です。プラスチックを溶かしてしまうため、爪楊枝などで取って少量塗布する使い方をします。大量に塗ってしまうと削るのが大変なので注意。乾燥後に紙やすりでなだらかにします。
サーフェイサーを塗装して、きれいに埋まっていることを確認しました。

ガトリング砲

サンダーボルト2(A-10)に装備されているガトリング砲をイメージしたパーツを作って、「ろく」のお腹の両側に空いている場所につけました。

AutodeskのFUSIONで3Dプリント用データを作って出力しました。バラバラに設計して真鍮パイプなどで組み上げたほうが精密感が出ますが、直径5mmくらいなので今回は一体パーツで出力しています。
光造形の3Dプリンターで出力してMr.カラーの「グラファイトブラック」で塗装したところ。積層痕がありましたが、目立つところではないので今回はそのまま塗装しています。
仮組み中。塗装後に穴の底に接着剤で固定します。
完成図。左の「ろく」はカバーが付いているノーマルの状態です。

細かい塗り分け

軸棒も一体化したパーツの塗り分けは、円形マスキングシールの枠を使うのが便利です。

かかとパーツの塗装中。動くバージョンと固定バージョンのパーツがあるのですが、安定感を重視して固定版を使います。
円形マスキングシールの枠に一箇所切り込みを入れて、軸棒の周りを加工用に貼り付けて塗装しました。円形マスキングシールSの1.6mmの枠を使用しています。
巻き付けるように貼り付けます。
塗装の漏れがないように周囲もマスキングして、白く塗装しました。
この方法を使えば、軸で一体になったパーツの塗り分けも楽が出来ます。

シャークマウスデカールの貼り付け

デカールより大きめの範囲にデカールフィクサーを塗ります。夏は気温が高く、貼り付くのが早いため、冬季より多めに塗ります。

デカールフィクサーは水溶性で、あとで水洗いができるのではみ出して塗ってもOKです。

デカールは現物合わせで自作しました。

湿地帯でデカールの裏面によく吸水させて、剥離してから作業します。よくある失敗で、剥離が不十分なままスライドさせて始めると、紙のカスがデカール側にくっついてきてしまい、ゴミが混入してしまうことがあります。剥離しているかよく確認して作業しましょう。

※湿地帯はBG Vol.2 水転写式デカール貼りのコツを参照してください

で位置調整をしながら、中央から固定するように水を追い出します。いきなり綿棒やデカールスキージーを転がして作業をを始めると、綿棒などの吸着力のほうが勝ってしまうため、巻き付いてしまいます。初期接着を待ちましょう。
デカールスキージーの斜切側で、シワを伸ばします。
強く押し付けるとデカールがズレてしまうため、注意。物理法則に逆らわずに、中央から放射状に貼り付けるように意識します。上半分に貼り付けているのは水で濡らしたキムワイプです。反対側の作業をするまでに乾燥してしまわないように保湿目的で貼り付けています。
ここで初めて軟化剤を使います。今回はGSIクレオス「マークソフター」を使いました。赤丸で囲んだシワが寄った部分のみに塗布します。全体に塗布すると、伸ばしたくないところまで伸びてしまうので、使用する箇所は必要最小限に留めます。
水で濡らしたでシワを伸ばします。
完成。よく乾燥させてからはみ出した糊などを拭き取ります。

ほか作業途中の写真

迷彩塗装パターンのテスト中。ポップ路線の現行クラウドマスキングシールと比較して、ミリタリー色の強い柄です。
AMPコーションデカールの1/100版のテスト。
AMPコーションデカールの1/100版のテスト2。
大字の六「陸」のデカールテスト。SFっぽい雰囲気を意識しています。
数字のデカールのテスト。※8は錯視調整前
塗装完了。
目は付属のデカールがありましたが、横線を入れてメカっぽくしたかったので新たに作りました。

次回は完成編です。

使用キット

・陸上自衛隊06式-Ⅲ型戦車 ろく[カスタムVer.]


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