この記事内で「デカール」の定義と基本的な使い方については別記事を参照してください。重複する部分は省略。
印刷部が割れるほど古いデカールとは
10年前の記事と基本的には同じ内容です。
水に浮かべた途端にバラバラになってしまうデカールの補修についてですが、ここ4-5年は出会ったことがありません。過去に2度ほどキットに入っていたデカールが劣化してバラバラになったことがあります。
デカールは、印刷物やステッカーなどと一緒でいつまでも使えるものではないので早めに使うのが適切です。色移りすることがありますので、密閉したダンボールの中に直接入れておくのは適切ではありません。密閉せず、日(紫外線)が当たらない場所に保管するのが良いようです。
ちなみに、今回の補修をバラバラにならないデカールに予防のために塗っても何も良いことがないので、バラバラになるほどデカールのオーバーコートが劣化したヴィンテージなキットを作らなくてはいけなくなったときに参考にしてください。
デカールの印刷部は、もともとバラバラになる
デカールの印刷部がバラバラになる原因は、デカールの構造から知ることができます。オーバーコートをわざとせずに、印刷だけされた状態のものを水に浮かべると、バラバラになります。
なぜかというと、オーバーコートは印刷部を保護したり、印刷をグループ化する目的のクリア層(ニス、ワニス)のものだからです。そのコート層が劣化すると、つなぎ合わせる機能がなくなるため、印刷がバラバラになります。
つまり、オーバーコートを再度作れば解決
オーバーコートの劣化原因による「バラバラ」は、オーバーコートを作り直すことでバラバラにならないようにできます。
注意点は、もともとあったオーバーコート部にのみにニスを塗ること。元の範囲超えて適当に広げて塗ると、塗ったところがすべて「グループ化」されますので、そこで一体化してしまいます。
オーバーコート破壊を再現
オーバーコート機能の劣化を再現するために、デカールを貫通する切り込みをデザインナイフで入れました。
透明ニスをさっと塗ります
補修に使用するのはタミヤつや出しニス。ほかの塗料でも代用ができそうですが、必要条件は「乾燥硬化後に水に溶けない塗料」、「ある程度弾力性がある」。
ハケ付きなので、タミヤ「つや出しニス」が便利です。濃度が上がっている場合は、水で希釈し、厚く塗りすぎないようにハケをしごいて薄くハケに取って、もともとあったオーバーコート(透明層)の部分にだけ塗ります。
「01」にだけニスを塗りました。「02」は切り込みを入れたままです。よく乾燥させます。
貼り付けの実験
正常なデカールと同じように台紙で切り離して湿地帯に置きました。画像のものは「プラモ向上委員会 水転写デカール用 デカーリングQuickトレイ」
「01」は破壊したオーバーコートを再度復元したのでばらばらになりませんでした。気になる場合は切り込み部の補修が必要ですが、バラバラになる状態は避けられます。
「02」の方は劣化再現用なので、バラバラになりました。