古いデカールや割れるデカール
最近リリースされたデカールではそういうことはあまりなかったんですが、最近出たとあるシリーズキットに入っているデカールがなぜかよく割れます。
古くなったからではないので、すぐに製造元で解決されるとは思いますが、そのデカールを含め、古いデカールは表面が割れていて(表面上は見えないんですがね)、水に浮かべたあとにバラバラになってしまったりします。
事務所に資料用として保存してある懐かしのヤングデカールがあるんですが、あの辺り、もうあれは見た目にバラバラでした。あと、日東製とか古いのはもうダメになっているかもしれません。
デカールリキッドフィルム
で、世の中には古いデカールでも貼れるようにする、マイクロスケール社のデカールリキッドフィルムという便利な製品があるんですが、輸入品のため高価で(ドル120円としても高価なんだな、円高の今だからもっと安価に入ってきてもいいとは思うんですが、直輸入だと安かったです)、さらに大きな模型専門店でないと手に入らないので、存在を知らない人もいるかもしれません。うちの近隣では見かけたことが無いです。
それで最近似たことができる代用品がないか探していたんですが、タミヤ社のツヤ出しニス(おそらく中身はアクリルクリア)が使えました。
これはハケ付きで使いやすく、乾燥もわりかし早いし、少なくともうちのデカール類ではインクの溶けなどはありませんでした。
ちなみにデカールリキッドフィルムというのは(検索すれば画像も出ます)、カリフォルニアにあるマイクロスケール社が出しているデカール用ケミカルの一種で、デカールの上に薄く塗布して、ニスのような膜を作り、印刷面を保護する液体です。
実際にやってみましょう
※古いデカールを使い人向けで、割れもしないデカールに施工してもニス層が厚くなるだけで、無駄です
該当のデカールを使えないので、うちのデカールをメスでぶった切り、再現して見ました。
実験台になったのはMCNデカールのナンバー白です。シルクスクリーン印刷で、これはカルトグラフ社の印刷ではなく、国内の業者製です。ちょっと癖がありますが、形状に気をつければ大丈夫な工場です。左はタミヤ社のつや出しニス希望小売価格315円。フェイクスイーツシリーズが出た時期に追加された商品です。
痛々しい。実際にはこんなになることは無いと思いますが、劣化を再現して見ました。切断してしまったので後ほどまで切断後が残りますが、古くなったデカールは水に浮かべた後に分離するので、先にニスを塗っておけば断面ができるのは防げそうです。
つけすぎても意味が無いので、ハケをよくしごきます。
上は適量。ニス面と同じ扱いになるので、ニスの上にちょうど乗せるくらいでいいです。下は塗りすぎですね。厚みが気になる場合は貼付け後にペーパーヤスリをかければ厚みは解消できます。
よく乾燥させます
よーーーーーく乾燥させたら、いつものとおりにデカールを切り出して水につけます。乾燥する前に指で触ると痕がついたりで大変です。
(水の中に30秒くらい浸ける人がいますが、ノリが流れだすだけであまりいいことがありません。浸けるのは裏の台紙が湿る4秒くらい。台紙が湿ればそこから不繊布に水揚げして待っていれば、ノリが流れ出さずに剥離します。詳しくは以前のエントリーをどうぞ。古いデカールの場合は、湿らす→水揚げの作業を繰り返します。)
デカールの柄が指で触って動くようになれば剥離完了です。
こっちは何も塗布しなかった柄です。当然のごとくバラバラ。
こっちは塗布した柄です。曲面に貼りましたが、バラバラにならない。デカールリキッドフィルムと同じようにデカールを保護することができました。
こちらは大きなサイズの方で、さらにきつい曲面に貼りました。上からデカールソフターを塗って見ましたが、特に塗布面が溶けるなどはありませんでした。ただ、柔らかくしたい場合は、デカールの「下」にソフターを塗布する必要がありそうです。上から塗ったのはニスの影響かあまり効果がなく感じました。
完全乾燥後。下に塗布していればシワの処理も上手くできそうです。クリアの厚みが気になる場合はヤスリがけでなんとか。
以上、古いデカールをなんとか使い方向けでした。
※本来の用途とは違う使い方ですので使用は自己責任でお願いいたします