ハイキューパーツの公式ブログ「テクニカルガイド」

その2 メガミデバイス「朱羅 忍者」+ギガンティックアームズ「ラピッドレイダー」

塗装とデカール貼りを平行して進めます

試作ヘックス迷彩デカール2のようなもの

「ラピッドレイダー」に貼るデカールは、ヘックス模様のデカール試作も兼ねて専用の物を作り起こすことにしました。ヘックス迷彩デカールの次弾に相当します。

何度か柄の調整が必要になるので、デカールを貼る予定の部分を先に塗装して、貼り付けテストができるように準備します。

作成したイメージ画像がこちら

カウルの色はアウディの「ナルドグレー」をイメージ。クレオス「バーリーグレー」が近い色ですが、半つや塗料なので、デカールを貼る前に表面を平滑にする必要があります。つやあり塗料で近い色味を自作したほうが楽かと思われます。塗装面につやが出ないため、そのまま貼るとデカールはシルバリングしやすいです。

デカールの色は何色が似合うか一度色んなパターンを印刷して実際に貼って試しています。最終的には「朱羅」の赤に合わせた赤系統になりますが、搭乗者が居なければ黄色も捨てがたいところです。デカールは弊社の別事業部(HIQPRINT)で印刷しています。

貼ってみて柄のフィッティングを確かめているところ。柄は何度か修正しました。

デカールのデータ作成はすべてAdobe Illustratorで行っています。Illustratorのデータは基本ベクターデータなので、あとでサイズの調整が必要な場合に拡大しても解像度が下がることがないため、用途に適しています。

ホイールはSF風に

クリアパーツのホイールに貼るデカールも作り起こしです。ちょっと前に流行ったLEDライトが仕込まれた自転車のホイールをイメージしています。サークルカッターで円形に切り出します。クリアパーツと全く同じサイズのデカールを貼ると、デカール部分と、もとのプラ部分との境目がわからなくハック術です(俗に言う、段差がない状態)。

予備のホイール(「アームドブレイカー」のキットから拝借)に実際に貼ってサイズ確認。しっかり測ってから作ったのでピッタリです。ただし、クリアパーツ(プラスチック)に直接デカールを貼る場合は、デカールの糊が上手く機能しない場合があるので(元は塗装面に使うものなので)、その場合はデカール貼付け面に、一層クリア塗装を挟むと良いです。


ホイールには左右で違うデザインのデカールを貼ります。クリアパーツなので反対側が透けて変な感じにならないだろうか?という懸念があり、実際に貼ってみて確認しました。問題なさそうです。

前輪左に”RAPIDRAIDER”を貼り
前輪右にラインデカールを貼りました。

デカールは「揃え」が大事

アンダーカウルにメーカーロゴ風のデカールを貼った画像。
全てのロゴを平行(白線)に貼ってみました。これはカウル底面のライン(赤線)とあってないのでちょっと変かな?ということで修正することに。

特にFOOLOOX(フールクス)のロゴと、カウルのラインの不一致に違和感

貼りなおしたところがこちら。

”nitro”デカールとそれ以外で角度を変えて貼ってみました。外装の円弧に合わせた配置です。

些細な修正ですが、どこに揃えるかのルールを決めて貼ると収まりが良いです。

「朱羅」の髪の毛をグラデーション塗装

「朱羅」の髪の毛パーツはパーツ分割が細かく、合わせ目も目立たないので、素組みのものをグラデーション塗装で仕上げます。

まずガイアカラー「EXホワイト」で下地を作ります。仕上がりは暗めの色なので全体的に白くなっていればOKです。

仕上がりを明るめの色にするならこの工程で、完全に真っ白にしておいたほうが良いでしょう。

白下地の上から、シンナー多めに希釈したクレオス「マホガニー」をエア圧低めで吹き付けていきます。陰になるところを先に吹き、次いで下地のホワイトをハイライトとして各部に残しながら全体を塗っていきます。

ある程度塗装したら、一旦組み上げて全体の色味を確認・調整します。

今回は「マホガニー」一色で塗り上げましたが、影色が薄いと感じる部分にもう一段暗い色を吹き足すと良いと思います。

以前メガミデバイス「グラップル」を簡単フィニッシュ仕上げ(髪の毛をグラデーション塗装)したときのリンクを参考に貼っておきます。
髪パーツのグラデーション塗装-メガミデバイスグラップルピクセル迷彩

細部の塗り分け

手裏剣は塗り分けのラインに曲面があり少し複雑です。あらかじめ「ラインスクライバー(0.15)」で色の境目になる部分を彫り込んでおきます。
その後、細切りにしたマスキングテープで丁寧にマスキングして塗装すれば画像のように綺麗に塗り分けることができます。

エアブラシ塗装後、マスキングテープを剥がした状態がこちら。
微小な塗料のはみ出しは、最後に細筆でリタッチします。

「朱羅」の凹み黒ベタ部分はタミヤエナメル「ジャーマングレー」を筆塗り後、はみ出しを拭き取って、凹ディテールには同「スミ入れ塗料ダークグレイ」を流し込んでいます。

失敗とリカバリー

パネルの塗り分けを忘れていたのでエナメル塗料を吹いてからはみ出した部分を拭き取ることでなんとか誤魔化せないか試します。

塗り分けの必要なパネル部分を大まかにマスキングしてエナメル塗料を吹き付けたところ
はみ出したエナメル塗料を拭き取って仕上がりを確認している一幕

やっぱり側面の壁部分は回りと同じく「グレー」であってほしいよね。ということで、ここはもう一度キチンとマスキングして塗りなおしました。

修正が上手くいったかどうか(ごまかせたか)は、次回の完成編で確かめてください!

外装はグロス仕上げ

修正版のデカールを貼り終えたところがこちら。柄の色はホイールに合わせて赤を選びました。各パーツに合うように柄の調整も行っています。

今回はバイクの外装ということで、仕上げはツヤツヤのグロスを予定。デカールのフチはできるだけ目立たないようにしたいのでウレタンクリアで塗装します。

使用したのは SHOW UPのホビー専用1液型ウレタンクリアー 。最近愛用中です。

SHOW UPの一液ウレタン塗料は計量や混合が必要ないため扱いやすく、またラッカー系のクリア塗料のように大きくヒケないので、クリアコート塗装には役立ちました。

また弊社で扱っている箔転写印刷式のデカール(CF印刷のもの)と非常に相性がよいです。
CF印刷デカールについてはこれまでクレオス「スーパークリアIII」を推奨してきましたが、環境が許せばこちらのウレタンクリアーがおすすめです。輝度の低下が抑えられます。今後、記事にまとめて紹介致します。

失敗とリカバリーその2

画像はウレタン塗料の「砂吹き」が甘いせいで、スジボリ部分のエナメル塗料が流れ出て全体が黒ずんでしまった例。

手早く終わらせようと焦り、デカール周辺にしか砂吹きを行わなかったので失敗です。砂吹きが足りず、エナメル塗料が溶けました。
上記のような失敗を防ぐために、砂吹きをしっかり行ってから本吹きすると良いでしょう。

エナメル塗料の粒が流れ出して周囲が黒ずんでいます。大失敗。
被害範囲が狭かったので、パネルラインに沿ってマスキングしてグレーを再塗装します。
修正後

ちょっとだけ研ぎ出しもします

ウレタン塗装後、まだデカールのフチの部分が浮いて見えるので1000番の神ヤスを使ってパーツを研ぎます。

研いだ状態。フチの部分がまだはっきり見えています。

この後、2度目のウレタン塗装行います。

二度目のウレタンクリアを吹き終わった状態

デカールの段差は見えなくなったものの、光が反射するとデカールの周辺がモコモコしているのがわかりますね。

グロスつやつやピカピカに仕上げる場合は、この工程(クリア塗装・研ぎ出し)を数回繰り返して表面を完全に平滑にするのですが、大変なので今回はここまで終了としました。

細部のディテールアップ

定番のオーロラグリーンシール

「ラピッドレイダー」にはリトラクタブル・ヘッドライト風のギミックがあり、中にはクリアパーツをはめ込むようになっています。

クリアパーツを生かしつつ、光源からの光をギラッと反射させたいので、「オーロラグリーンシール」を貼ります。ノギスで貼り付け面のサイズを測り、切り出したシールを貼るだけ!とっても簡単で効果が高いです。

右端の貼付け前「オーロラシール」を、赤いクリアパーツに貼ると画像の様な色合いになります。
光を反射するとピカーッ! 目立ちます。

胸部のワンポイントにもオーロラグリーン

「朱羅」の胸部にあるワンポイントにも一工夫です。

パッケージアートでは赤で塗装されていますが、「ラピッドレイダー」のライトと同じオーロラグリーンを貼ります(「ラピッドレイダー」と同じ色にすることで作品としての一体感を演出したい) 。

画像青丸の部分をカスタム

胸部は黒(ガイアカラー「ニュートラルグレーV」)の半艶で仕上げていますが、ここにシールを直接貼ると”半艶の下地”がオーロラの輝きを阻害するので、、

ポイント:オーロラ&ミラージュシールはグロスでない下地に貼る場合は、輝きにムラが出ます。(デカールがシルバリングするのと同じ仕組みです)

これを防ぐために、”グロスブラックのカッティングシートなどの上にオーロラグリーンシールを貼ったもの”を胸部に貼ります。


手順解説
①まずマスキングテープを使ってオーロラグリーンシールを貼る箇所の型を取ります。

細切りしたマスキングテープをフリーハンドで若干大きめにカットして貼る。

剥がしてナイフで微調整。

もう一度貼ってみて確かめる。の繰り返しでピッタリサイズの型を作ります。

手順①

失敗しても何度でもやり直せるので少しずつカットを繰り返すのがコツです。

②型をシールの上に貼り、型に合わせてシールを切り出します。
誤って型を切ってしまわないように。

手順②

③切り出したシールをはくり紙から剥がし、胸部に貼り付けたら完成です。
”シールの表面に傷をつけてしまった”などの場合は、もう一度②からやり直します。①で切り出した型があれば何度でもやり直しができます。

手順③

このように、パッケージの見本通りに仕上げたキットでも、 ちょっとしたワンポイントを追加することで途端にオンリーワンの作品にすることができます!
模型の醍醐味ですね。

オーロラシールやミラージュシールを使ったワンポイントは展示会などで、”人の目を引きやすくなる”のが特徴です。

高度なテクニックを必要とせず、丁寧に作業すれば大きな効果が得られるので、是非試してみてください。

これでその2は終了です。次回はいよいよ完成編。お楽しみに!


使用キット

メガミデバイス
朱羅 忍者
ギガンティックアームズ
ラピッドレイダー


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