完全!には予防できないのですが、対策となぜシルバリングするのかを解明していきます。
とともに、近日発売のデカールフィクサーの紹介をおりまぜながら、なぜデカールフィクサーが必要なのか!紹介していきます。
シルバリングしたあとには、カッターで切れ目を入れて、クレオス社のデカールセッターや、デカールフィクサーを流しこみ、完璧に乾いた後にクリアを数回に分けて流れるように吹きつければ回復できますが、正直そんな手間をかけるなら初めからノリを(予防的に)増した方がラクチンです。
シルバリングの原因
今さらシルバリングの説明は不要かと思いますが、一応簡単にします。ちゃんとデカールを貼って、クリアでコートしたにも関わらず、デカールの中に空気が入ってしまったり(泡だってしまうのはクリアを一度に吹きすぎているからです)、白浮きしているように見える失敗のことです。
原因はいくつかに分けられます
対処ができる原因
- もともとデカールのノリが弱い(古くなったデカールを含む)
- ノリを流してしまっている
完璧には対処できない原因
- デカールの透明な層がにごっている
まず前者から解明していきます。
実験台になるのはペインティングベースの裏側(未塗装で粗いので1500番でならしました)と
EXPデカール01のナンバーホワイトカラーです。素性は国内のデカール業者によるシルクするクリーン印刷(NCデカールシリーズのみカルトグラフ社で印刷しております)。ここのデカール品質を気に入っている理由は後述します。デカールをデザインナイフで切る人も多いと思いますが、このタミヤのはさみがとても切りやすいのでデカールが苦手という方はこれを試してみてください。
シルバリングを再現します
左は水に浸して、10秒程度ですぐに水揚げしてキムワイプに乗せた状態。こっちが正常なデカールの使い方で、弊社のデカールの裏側にも説明で書いています。基本的には台紙が湿ったらOK。あとはティッシュや布などの上で台紙から剥がれるまで待ちます。
右がよくやってしまう、何十秒もデカールが台紙から剥がれる水に浸してしまう状態。この時間が長いほど、ノリが流れだしていって、接着力が無くなってしまいます(シルバリングの原因はここがほとんどです)
左の765は通常の貼り方で、フィニッシュマスターなど柔らかい綿棒でデカールを密着させていきます。
こうやって台紙から離れたらもうノリは流れてしまっています。今回は擬似的にシルバリングを再現するべく30秒くらい浸けていました。
遅れて水揚げされた008を貼ろうと思いますが、水しか残ってないので密着はしても完全に乾燥すると、シルバリングの出来上がりです。
一見では密着しているように見えますが、ここから完全乾燥すると浮いてきます。せっかちさんは完全に乾く前のこの状態でクリアでコートを開始してしまうので、あとから浮いてきて、シルバリングになるわけです。
ぺろぺろぺろーん
ひどい状態ですが、完全に再現できました。
デカールの生産時期から年月が経っていてノリが弱い、もしくはノリを流してしまった状態です。
デカールフィクサーの出番!
正確にはデカールフィクサーの出番はもっと前なんですが、デカールに心配があるときは事前にデカールフィクサーを使うとシルバリングを予防できるわけです。
デカールに使われているノリを個人用に小分けしたもので、まったく同じ性質の液。溶剤系ではないので塗装面をいためることがなく、デカールを軟化させることなく、「デカールのノリ強化」に特化したアイテムです。
黄色い!ですが、容器が黄色いだけなので中身は透明。
キムワイプに染みこませてもこの通り透明です。
デカールの面積くらいを塗ります。はみ出した液はあとで拭き取れます。
ぺとっと上に乗せるだけ!
お気に入りのフィニッシュマスターを転がして密着させます。
これを完全に乾燥させると、
新品の765の方と同じように、擬似的に失敗させた008も同じように貼れました。
さて、問題の「完全には対処できない原因」の方ですが、これが原因で白濁してしまっている作品が散見されるので注意喚起の意味も込めて解説します。ハイキューパーツで製造を依頼しているデカールでは、現在のところありませんが、時期か素材が原因か製造法か、なんだかわかりませんが、ときどき変なモノがあります。
対処法は完全に余白や透明部分を切り去るしかないのですが、デカール選びの参考にしてください。
ノリを維持して貼っているのに「おかしいぞ!?」という方は、もしかしたら、原因はこれかもしれません。
生産国の違いや、デカールの価格が高いものを選べばいいであれば問題ないというわけではないのが難しいのですが、デカールというのは、ここを気をつけるべきです。
白く濁ってる?
(あくまで予想でしか無いですが、つや消しに合わせて初めから強度のつや消しにしてあるのかもしれません。だが光沢の時どうする・・。)
下がEXPデカールから切り出した透明部分。上がとあるデカールから切り出した透明部分。
透明度の違いがわかりますでしょうか?ここの時点で、濁っているもしくは、白っぽくなっていると、上に書いたシルバリング対策をしても意味がありません。特に光沢仕上げにおいては致命的です。
USB顕微鏡でズームアップしてみます。
周りがぶつぶつになっているのはABSの成形品なので気にしないでください。
これはデカールを貼った数字部分の透明箇所です。透明部分は、透明であるべきなんですよね。
さらにアップにした上側の濁り。ね。
台紙の上に乗っているままでのデカールの透明部分を撮影しました
拡大図では上側。濁りが見えます。
これがEXPデカールの透明部分。
切り取るしか無いぜ
後半が長くなりましたが、シルバリングがデカールフィクサーなどの添加物で治らない、光沢部分でデカールを貼った箇所に濁りが出るという方は、デカール自体を見なおしてみてくださいという見解でした。
ちなみに上にも書きましたが、濁っている・もしくは強度のつや消しになっている透明部分をカッターで切り取ればOKです。抜き文字とかは大変ですが。
おまけ
NCデカール05シリーズ1/100も撮ってみました。カルトグラフのものは透明度が高い上に、余白が殆ど無いのでシルバリングしにくい。そういうカラクリです。
右に写っているのは、箸ではなく「つまようじ」。NCデカールについてはまた改めて紹介します。
※弊社販売の生産が新しいデカールについてはノリも劣化していないので、デカールフィクサーを使わずとも、正しい方法でデカールを貼れば正常に使用できます。ノリの劣化、貼り方に不安がある、どうしてもシルバリングしてしまうという方はお試しください
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