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SIJデカールの使い方・扱い方・貼り方

水転写式デカールの長所短所

小さい頃に使って失敗したトラウマか、デカール(ここでは水転写式デカールとして)が苦手という方は多いと思います。シールやインスタントレタリング(いわゆるドライデカール)と比べてデカールのメリットは多いのですが、水、、がダメなんですかね。

水転写式デカールの良い所とダメなところ

  • ○ 薄い
  • ○ 水でずらせるので位置決めがし易い
  • ☓ 余白がある
  • ☓ 水が必要

 

インスタントレタリング(ドライデカール)の良い所とダメなところ

  • ○ 薄い(ものによりますが)
  • ○ 余白がない
  • ☓ 位置決めが難しい(ほぼ一発勝負)
  • ☓ 大判や、溝をまたがったり、曲面部が貼り付け難しい

 
模型という用途に限れば、水転写式デカールが今まで支持されてきた理由もわかります。主には、位置決めのしやすさですね。
ちなみに、SIJ印刷デカールは、弊社では迷彩シリーズ、小ロットの変ながらのシリーズ(家紋とか桜とか)、トライバル2とかは、薄さを特に追求したもので、水転写式デカールです。

いろんな難しいポイントがあると思いますが

水に浮かべているうちに浮かび上がってきてどこかへ行ってしまった!というのは、簡単に解決できるんですが(下で説明)、位置決めをしているうちに乾いてしまった、ひっくり返ってしまった、ピンセットで破ってしまうなどの解消法を写真と共に紹介します。筆はどこのでもいいのですが、会社でよく使っているのはタミヤHF平筆No.2で、模型店によく置いてある平筆です。
SIJ印刷方式のデカールを使っていますが、一般的なシルクスクリーン印刷のデカールでも同じことなので応用してください。特に、薄いものや、大判デカールの扱いに応用できます。

ドゥルガーに貼ります!


デカールの切り出しは、小さいハサミを推奨しているですが、カッターでも可。

ポイント1です。水転写式デカールは、水に数秒付けるとよく解説書に有りますが、正確には裏面の吸水層が水を含むまで水に浸すです。なので、さっと水面につけたら即ティッシュ(今回はキムワイプ)や、布の上に水揚げします。水を吸う下の厚紙が水を含み、上の糊を溶かし、柄部分が浮き上がるのが水転写式デカールの仕組みです。

水にずーーっと付けておくと何が起きるかというと、下層の吸水層が水を吸った後、水に溶けるノリが溶けて、柄が剥離、その後ノリが溶け続けて、水面にふらふらと柄が漂う状態。そうです。なので、水にはさっと。水を含ませるのは、水揚げ後でOK。

水揚げした後の図。これで、柄が下の紙から剥離しないようであれば、また水を含ませるためにダイブです。ウェットティッシュのようなものを作って、デカールをその上に置いて柄部を剥離させるのもアリです。

この工程が必要なのはSIJデカールのみです。周囲の透明層をピンセットで取り除きます。取り除かなくても使えますが、あとあとゴミとして残っていると厄介なのでポイっと。

見えにくいと思いますが、周囲の透明な部分を取り除きます。画像から伝わらないと思いますが、柄の周囲の、更に周囲にあります!

薄めたクレオスのマークセッターを貼る面に塗布します。液剤を弾くようであれば、弊社デカールフィクサーを混ぜるのも効果的ですが、弾かなかったのでそのまま。水で薄めたマークセッターでないと、がっちり固まってしまいますので要注意です。液剤1:水1くらいで薄めました。

ポイント2。位置決めは、ピンセットでは行わず、水を含ませた筆で行います。ピンセットで挟むと、挟んだあとがついてしまうのと、破ってしまいやすいため、コントロールがし易い筆を推奨しています。それと、スライドさせるのは、台紙の方です。筆でデカール部に下に圧力を掛けて保持して、台紙をスライドさせます。

筆は抑えるだけ、台紙を引き抜いているの図。

筆で位置を調整します。

余分な水分も筆で刷って、あとは乾燥させてデカールを固定します。

2次曲面に圧着させる


ガイアノーツのフィニッシュマスターのソフトタイプを使って曲面にコロコロして密着させます。水分をある程度吸い取った状態でないと、フィニッシュマスターの方にデカールが張り付いてきて面倒くさいことになりますので注意を。棒が無くなったので爪楊枝に差して使っています。ハードタイプよりはソフトタイプのほうがデカールには扱いやすいようです。

段差に馴染ませる


1時間位置いて乾燥させた他の部位です。この部品には溝があるので、デカールはそこを跨ぐように乗っていますが、ここをカッターで切断します。

予防の意味もあって、カッターの刃はかならず新品に交換。

水で薄めたマークセッターをちょっとだけ周囲と溝に塗ります。マークセッターが時々厄介なのは(原液の時ですが)そのまま放って置くと塗装面に跡がついたりするので、水で薄めない場合も、よく水筆などで拭き取ることが必須です。あと、水性塗料には使えない。
マークセッターを大量につけるとデカールがぶよぶよになって大変になるので注意を。

水を含ませた筆で、溝にデカールを、折りこむ、、というか、溝にそって筆をトントン。

溝に馴染みました。ちょっとSの周囲を修正しますかね。

ひとまず組み上げ


いろいろ終わってないようですが、とりあえず組んでくれ!

いろいろ部品が付いていないですが、完成までもう少し!
今回使っているのは、家紋デカール01 ホワイト(1枚入)
オンライン直営店のみでの扱いです。

SIJ印刷式水転写デカールは小ロットで高精細印刷できる代償に、通常の水転写式デカール(シルクスクリーン印刷やオフセット印刷など、以下標準タイプ)と扱い方が大きく異なります。
SIJ印刷では、予め透明な樹脂を塗布した専用用紙に印刷してデカールを製造しています。標準タイプでは、インクの上に透明樹脂を表面にコートされていますが、本印刷ではインク印刷の下側に透明層あります。そのため、柄の周囲にカットを入れて、柄同士を分割し、透明トップコートの代用としています(デカールの用途により切り込みを入れていないデザインもあります)。
デカールを使うには、まず任意の柄を切り取り、紙部分に水を含ませます。3秒も水中に浸せば含浸は完了します。水から引き揚げ、裏面の水色の部分が水を含み、透明層と水色台紙の間の水糊が溶け始めるまで放置した後に、周囲の透明部分をピンセットで取り除きます。台紙の上に残った「デカール」部分を水を含んだ筆などで被貼付け面に滑らせて貼り付けます。乾燥させた後に、「GSIクレオススーパークリアIII」で表面を塗装・コーティングします。「ガイアカラーEXクリア」を使いたい場合もかならず、先に「GSIクレオススーパークリアIII」で保護膜を作って下さい。印刷面のひび割れを防ぐことができます。「GSIクレオススーパークリアIII」を塗装した上で、任意のマットクリアや、さらにクリアを重ねるなどして仕上げて下さい。